今日は症例写真ではなく、ちょっとした小ネタというか歯科医院選びの基準にして頂きたいものについて書かせて頂きますね。
まず、あまりご存知ない方も多いかもしれませんが・・・
歯科というのは医科ほどでは無いにしても、実は分野が細分化されています。
ぱっと思いつく程度でも最低限これくらいあります。
そして、歯科医師によって上記分野において得意不得意というものが存在します。
例えばレーダーチャートで上記の分野の得意不得意を表すとこういう感じですね。
(あ、これ別に私のチャートじゃないですよ。あくまで一例です。)
このチャートの面積が広ければ広いだけ多くの分野に対応できるという事になりますが・・・
基本的に1つの分野ごとに必要な知識量や技術が非常に多いです。
ですので、
このチャートで全てを完璧に網羅できるようなスーパードクターはいらっしゃいません。
というよりは不可能です。
通常は1つの分野に特化して勉強していくと、そのほかの分野について勉強する時間を取れなくなってきます。
この世の中に生きている方全員に「時間」というものは公平に与えられていますからね。
また歯科で割と特殊なのはそのすべての分野で技術が必要という点です。
知識だけ仕入れていても、技術が無ければ意味がありませんし、技術だけあっても知識の裏打ちが無ければ何の意味もありません。
技術は磨かなければ上達しませんが、磨くためには時間が必要です。
だからこそ、上記した通り、
特化すればするほど、他科に疎くなっていきます。
さて、ここまでが前置きなんですが・・・
ここで少し疑問が出てきます。
現在歯科での標榜科目名は「歯科」「小児歯科」「口腔外科」「矯正歯科」の4種類しか認められていません。
(「インプラント科」や「審美歯科」と記載するのは普通に医療法違反になります。)
そのため、医院ごとの特色は看板などからは全く読めない状況になってしまっています。
私は院長紹介の所でも書いた通り、基本的に保存領域の治療(歯周治療・虫歯の治療・神経の治療など)を得意分野としており、「歯を残す」という事に力を入れて診療しています。
逆に、インプラントなどの高難易度の外科処置であったりは得意としていません。
まぁともかく・・・
「他の歯医者では抜くしかないと言われた」
「何度神経の治療をしても痛みが良くならない」
「なるべく歯を削らないで治療してほしい」
という方には当院は向いていると思います。
ただ偶に
「大学病院で抜歯が必要と言われたが、抜けないか?」
「インプラントを入れてほしい」
「訪問診療をお願いしたい」
といった方がいらっしゃるのですが・・・
それらは私の得意分野ではありません!
保存領域にこれだけ勉強時間を振っている状況で、外科や訪問などの領域の勉強までは流石に追いつきません。
なので、インプラントをご希望の方の場合は、日大松戸歯学部付属病院のインプラント科に紹介させて頂いております。
インプラントは結構開業医さんでも簡単にされていますが、実は非常に難しい治療の1つです。
治療の計画がしっかりとしていないと全く長持ちしませんし、その後の経過観察が非常に大事になってくるからです。
そのためには本当にインプラントに特化した医院でなければならないと考えているためです。
知り合いの先生の中ではそれこそインプラントでセミナーを多く開いている方も居ますが・・・非常に遠く、経過観察を含めると現実的ではありません。
なので、今のところ日大松戸さんへ紹介させて頂いている感じです。
ちなみに、なぜ私がインプラントや訪問診療を行わないかというと、治療の方向性がブレてしまう恐れがある為です。
どういうことかというと・・・
基本的に歯を抜かないことを治療の主軸としているのですが・・・
インプラントについては当然抜歯前提の治療ですし、
訪問診療も不意に抜けてしまった歯が肺に入らないように、そもそも誤嚥性肺炎のリスクを下げるのが重要項目ですので、抜歯の適応症が一般診療よりも比較的広めになっています。
器用な方は別に考え方を切り替えながら診療していけるんでしょうが・・・
私はそこまで器用ではなく・・・
そして何より、インプラントというカードが自分の治療法の中にあるとまだ残せる可能性のある歯だとしても、「インプラントの方が成功率が高い為、抜歯が適切」という判断をしてしまう可能性があると思っているからです。
基本的に現在の医学上、自分の体に敵う人工物はありませんので、限界までご自身の歯で食事して頂くのが一番だと考えています。
こういった考えから、私はインプラントや訪問診療は行っていない状況になります。
もちろん訪問診療はこれからの社会にとって必要不可欠だと思いますし、インプラントも失った歯に対する現在の治療方法の中では最も優れている治療法だと思います。
ただ、だからこそ専門家に任せたほうが無難だし、仮に私が同じ状況になったとしてもやはり専門家に治療してもらいたいと思いますので、まだしばらくはこの方向で診療を進めていくことになると思います。
毎度毎度横道にそれてしまい申し訳ありません(笑)
まぁともかく、こう言った感じに、治療に関しては歯科医師の向き不向き、考え方による違いが非常に大きいです。
そのため、抜歯やインプラントを得意としている歯科医師に神経の治療の成功率を求めるのは間違っています。
神経の治療の成功率を求めるのであれば、神経の治療が得意な歯科医師を見つけるべきですね。
現在はホームページを持っている歯科医院が殆どですし、その中で症例写真やブログを通して自分の得意分野をしっかりと教えてくれている歯科医院が結構あります。
通院先を探すときには必ずホームページなどでその先生の考え方を知り、それが自分の求めている治療に合っているかを判断してから通院されることをお勧めします。
とある知人の先生が良く言っていますが・・・
歯医者探しで今後の人生が変わる。
自分に合った歯科医院を見つけられるだけの「患者力」を身に付ける必要がある。
私もその通りだと思っています。
ただ近いから、ただ親も行ってるから・・・で選ぶのは結果としてご自身の為にはなりません。
特に30代の方と、60代の方で治療の方向性はまるっきり違いますからね。
あとは、歯科医といえども、人間です。
どれだけ専門分野に特化していたとしても、必ず大なり小なりのエラーは起こってきます。
そういったエラーが生じた際に、「この人でダメだったんなら仕方ない」と思えるような先生に巡り合えるのが一番かと思います。
・・・とはいえ、そういう先生に巡り合うのは本当に難しいので、
やっぱりご自身が治療してほしい方向性に特化している歯科医院を受診するのが今の所はベターですね。
今後の歯科医院探しの参考にしてみてください。
私は今の所、神経の治療・自費診療・虫歯の治療・簡単な矯正・義歯・簡単な抜歯については既存の患者さんから「良いって聞いて・・・」と新しい患者さんが来てくれています。
私も同様に力を入れて勉強している分野ですので、そういった点については一定以上のラインの治療は提供できるかと思います。
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