• 三木雄斗

歯科金属高騰・・・保険診療が赤字化。

最終更新: 1月25日

こんにちは。

保険診療がもはや「破綻している」に近い状況になってきています・・・。


今までの当院での治療方針としては、

「保険診療でも選べる材料の中で最も長持ちするような治療を行う」

というものでした。

保険診療の枠組みで考えると白い材質よりも金属材料の方が余程長持ちする可能性が高かったため、『保険なら金属。見た目や治療の成功率を期待するなら自費』というイメージで診療を行ってきました。


所がここにきて、表題にある通りに保険診療で使用する歯科金属(金銀パラジウム合金)がここ数年で高騰して行っています。


とある情報サイトからのコピペですが・・・

わずか1日でこれだけ上がってきています。

保険内で使用しているパラジウムの価格が、自費で使用されている金よりも遥かに高いという恐るべき状況・・・。

歯科で使用しているのはパラジウム単体ではなく、パラジウムを主成分とした合金ですが、主成分ですのでパラジウムの時価によって合金の費用も大きく左右されます。


2018年の8月に金属を購入した際の情報が残っていたのですが、この時は30gで48000円でした。(1gだと1600円)


そして1月25日現在、とうとう80000円を超え始めてきました。(1gだと約2700円)



この金属の高騰がどう赤字化に影響してくるかというと・・・

保険の診療報酬は固定という所です。

つまり、『金属の価格が上がっていようが下がっていようが得られる収入としては同じ』ということです。


例えば一例として・・・

大臼歯(奥歯)の金属の被せ物を行った際に医院として得られる収入は12920円です。

(形作り・型取り・かみ合わせ・金属代で。)


それに対して掛かる費用は

金属:3gと計算して、8000円

形作り・型取りで使用する材料の費用:300円

技工士さんにお支払いする費用:2000円


となると被せ物1本を入れた時の医院利益は2620円となります。

当院では型取りで30分・Setで30分の時間を取らせて頂いているので、売り上げが1時間で2620円となるわけです。


当然スタッフの人件費・光熱費・滅菌費用などがここから差っ引かれて行きます。


その結果、良くて収入は0円、普通で赤字、金属を多く使用せざるを得ないケースでは大赤字となってしまう訳です。


もうこうなってくるとただのボランティアみたいになってきますが・・・

今まで診察させて頂いていた患者さんが放り出されてしまわないように、院長は経営努力を行い続ける必要があります。

(当然、スタッフの生活を安定させる義務もありますからね。)


ですので、ボランティアを繰り返すわけには行きません。


また保険診療は上記した通り「報酬が一定」なのですが、そのため、形作り型取り15分・Set15分で行ったとしても報酬は同じになります。


なので、日本中の今後の歯科保険診療の現場では

①今まで通り金属を使用して、人数を捌いて黒字に持っていく医院

②金銀パラジウム合金での診療を止めて、他の材料でどうにかしようとする医院

に分かれてくるかと思います。


①の場合だと1人あたりに掛けられる時間が少なくなり、説明等が十分に行う事が出来なくなり・・・そもそも治療の精度も確保できなくなるため、どう足掻いてもまともな治療が出来なくなります。

②の場合だと他の材料でどうにかなる状況であればいいのですが・・・無理な場合は安価な金属を使用したり、長持ちしないのを承知の上で白い材料で治療する方向になってくるかと思います。


どちらの方が患者さんの為になるかで考えると、まだ②の方がマシだと私は思いますので、今後は②の方向にシフトしていくこととします。


ただパラジウム以上に安価な金属を使用すると材料の性質としても悪い為、健康被害が非常に怖い為、

「全力を尽くした上で保険適用内の白い材料で治療し、長持ちさせたい方は希望があれば自費にて治療する。」

という方向にしていきます。


金属の価格も、保険での報酬も全国一律ですので、日本中のどの地域でも今後この方向性が加速していくこととなります。

本当に今後は保険診療の場合は「質を無視した治療を提供」するか「質をキープするために材料を安価なものに切り替えるか」の二極化が進んできそうです・・・。


経営的にはこういう内容はあまり書かない方が良いんでしょうけど・・・

私を信頼して通院してくれている患者さんに内緒で治療方針を切り替えるのはその信頼を裏切る行為のような気がしたので、書かせて頂きました。



予防の意識が低く、虫歯が溢れかえっていた昭和中期に作られた制度ですし、その大筋の改定はほとんどされていません。

予防意識が高まってきていて、新たに虫歯になる人も少なくなってきたこの令和の時代には正直合っていない制度になってしまっていますからね・・・。


何処かでこういう歪が出てきてしまいますね。


国民皆保険という「誰でも国内で非常に安価に治療が受けられる」というこの保険制度は世界に誇れる素晴らしい制度であると思いますので、是非時代背景に即したものへの改定を進めて頂きたいと思いますね・・・。

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