治療概要
| 主訴 | むし歯があり、ダイレクトボンディングでの修復を希望 |
|---|---|
| 診断 | 左上5番(上顎左第二小臼歯)近心のう蝕(神経に近い深さ) / 左上6番(上顎左第一大臼歯)のう蝕 |
| 治療内容 | ダイレクトボンディング(ラバーダム防湿下・2歯/同一来院内で連続して実施) |
| 治療期間・回数 | 1回・約75分 |
| 費用(税込) | ¥100,000(2歯/1歯あたり50,000円) |
| リスク・副作用 | 経年的な変色・摩耗/強い衝撃での欠け(修理可能な場合あり)/術後の一過性の痛み・知覚過敏/本症例の左上5番のように神経に近い深いう蝕では、経過によって後日あらためて神経の治療が必要になる場合があります/清掃状態や噛み合わせによっては同じ部位に再びう蝕が生じる可能性があるため定期的な確認が必要/自費診療のため健康保険は適用されません/効果・経過には個人差があります |
千葉県からお越しの30代男性の患者さん(歯科医師)です。
むし歯があり、ダイレクトボンディングでの修復を希望されてご相談いただきました。診査の結果、左上5番(上顎左第二小臼歯)の近心と、左上6番(上顎左第一大臼歯)にむし歯が見つかり、ご相談の上でダイレクトボンディングによる修復を行うことになりました。自費診療の75分枠を確保し、1回の来院で2歯とも治療を完了しています。
■ ダイレクトボンディングとは?
まず、今回行った治療についてご説明します。
ダイレクトボンディングとは、歯科用の白いプラスチック(コンポジットレジン)を直接お口の中で歯に盛り付け、天然の歯に近い形や色を再現しながら修復する治療法です。
銀歯などの詰め物と異なり、歯の色に合わせて治療できるため、治療跡が目立たず自然な見た目に仕上がります。
似たものに保険のコンポジットレジン修復があります。どちらもプラスチックを使用した治療方法のため、強度や物性に大きな違いはありませんが、予後には大きな違いがあります。
その違いについては以下のリンクをご覧ください。
▶ 保険のコンポジットレジン修復と自費のダイレクトボンディングの当院における違いはこちら
▼ 術前・術後

■ 見た目ではほとんど分からなかった左上5番のむし歯
今回、とくに注意が必要だったのは左上5番の近心(前寄りの面)です。
術前の写真を見ていただくと分かるように、歯の表面からは、近心にむし歯があることはほとんど分かりませんでした。一方でX線写真では大きなむし歯であることが分かっており、実際に削り進めてみると、X線写真で把握していても驚くほどの大きさでした。
歯と歯の間(隣接面)のむし歯は、このように表面のエナメル質が残ったまま内側で大きく広がっていることがあります。見た目だけでは判断できないため、X線検査が発見の手がかりになることがあります。
■ 神経ギリギリの深さでしたが、露髄を回避
左上5番のむし歯は神経(歯髄)にかなり近いところまで進んでおり、露髄(神経が露出すること)の一歩手前という深さでした。ラバーダム防湿を行ったうえで、拡大視野下で感染した歯質を目視で確認しながら除去を進め、露髄を避けて歯の神経を残したまま修復することができました。
なお、このように神経に近い深いむし歯では、治療後の経過によって、後日あらためて神経の治療が必要になる場合があります。治療後にしみる・痛むといった症状が続く場合は、お早めにご相談ください。
■ 薄く残ったエナメル質への充填
むし歯を取り除いた結果、左上5番の近心頬側(前寄りの頬側の角)は、内側の象牙質の支えがほとんど無い、エナメル質だけが薄く残った状態(遊離エナメル)になっていました。
コンポジットレジンは光を当てて固める際にわずかに縮む性質(重合収縮)があり、薄く残ったエナメル質にはその力の影響が及びやすくなります。そのため本症例では、重合収縮に注意しながら充填を進めました。
■ 左上6番について
左上6番は通常どおりの手順で修復でき、とくに問題はありませんでした。隣り合う2歯をラバーダム防湿下で続けて治療することで、1回の来院で左上5番・6番の治療を終えています。
歯と歯の間は、ご自身では見えにくく歯ブラシも届きにくいため、むし歯があっても気づきにくい部位です。今回のように、表面からは分からないうちに内側でむし歯が大きくなっていることもありますので、定期的な検診で確認しておくことをおすすめします。
※術前・術後写真について
掲載している写真は、治療内容をイメージしていただくための一例(症例)です。お口の状態やむし歯の大きさ、噛み合わせ、生活習慣などにより、仕上がりや経過には個人差があります。
また、写真はできるだけ同じ条件(角度・距離・照明など)で撮影し、治療結果を誤解なくお伝えできるよう配慮しています。
本ページでは、写真とあわせて治療内容/治療期間・回数/費用/主なリスク・副作用も同一ページ内に記載していますので、あわせてご確認ください。
■ 当院のダイレクトボンディング治療における「こだわり」と「強み」
当院がダイレクトボンディング治療において、特に大切にしていることをご紹介します。
1. 歯を最大限守ることを最優先します
治療の基本は、ご自身の健康な歯を可能な限り残すことです。当院では精密な治療を可能にする10倍の拡大鏡(ルーペ)を使用し、虫歯に感染した部分のみを正確に、そして最小限に除去します。健康な歯を削りすぎることがないよう、細心の注意を払って治療を進めます。
2.「接着」技術への深い知見に基づいた治療
ダイレクトボンディングの予後(治療後の経過)は、いかに歯と詰め物を強力に「接着」させるかにかかっています。実は私(院長)は、歯科医師向けにダイレクトボンディング治療の指導も行う講師でもあります。「接着」に関する深い知識と技術に基づき、接着力を最大化するための全ての工程を丁寧に行うことで、治療した歯の耐久性を高め、詰め物が外れたり、隙間から虫歯が再発したりするリスクを最小限に抑えます。
■ 治療の詳細情報 【治療内容】
ダイレクトボンディング法による歯の修復治療(左上5番・左上6番の2歯/ラバーダム防湿下で同一来院内に連続して実施)
【費用】 1歯あたり 50,000円(税込)
※本症例は【2歯】のため、合計【100,000円(税込)】です。
【治療期間】 1回(約75分枠)
【治療におけるメリット】
自然な見た目: 周囲の歯の色や形に合わせ、治療跡がほとんど分かりません。
歯を削る量を最小限に: 虫歯の部分だけを削るため、健康な歯質を最大限温存できます。
1日で治療完了: 型取りが不要なため、通院1回で治療が終わり、お忙しい方にも適しています。
再感染リスクの低減: 仮の蓋をする期間がないため、治療中に歯が細菌に汚染されるリスクを防げます。
金属アレルギーの心配なし: 金属を一切使用しないため、アレルギーの心配は少ないと考えられます。
修理がしやすい: 部分的に欠けたりすり減ったりした場合でも、その部分だけを修理することが可能です。
【リスク・副作用】
経年により変色したり、磨耗したりすることがあります。
強度が天然歯より劣るため、硬いものを噛んだ際にまれに欠けたり割れたりすることがあります。
治療後に一時的な痛みや知覚過敏(歯がしみる症状)を生じることがあります。多くは時間と共に落ち着きます。
本症例の左上5番のように神経に近い深いむし歯では、経過によって後日あらためて神経の治療が必要になる場合があります。
二次う蝕(詰め物の下からの再発)は、詰め方や日々のケアの状況によって起こり得ますので、定期的な確認が必要です。
自費診療のため、健康保険は適用されません。
■ 院長の治療方針:「歯の治療は回数券」
歯の治療は「回数券」のようなもの
歯科治療は、一度治療をした部位が永久に持つわけではありません。
時間の経過や日常生活の中で必ず劣化が進み、再治療が必要になる時がきます。
私はよく患者さんに「歯の治療は回数券のようなもの」とお話ししています。
仮に歯の寿命を「20枚綴りの回数券」に例えます。
- ダイレクトボンディングの場合:1回の治療で消費するのは1〜2枚程度
- 部分的な金属の詰め物(インレー)の場合:3〜5枚程度
- 被せ物(クラウン)の場合:5〜10枚程度
この「消費枚数」が少ないほど、残りの歯質を長く使える可能性が高まります。
【ダイレクトボンディングの価値】
たとえば、ダイレクトボンディングで1回の治療が5年持った場合、クラウンと同じ消費枚数(5枚)に達するまでに25年かかる計算になります。
もちろん、これはあくまで例えであり、実際の持ち具合はお口の状態や生活習慣によって大きく変わります。
大切なのは「治療が必要になった際に削る量をできるだけ少なくし、歯質を残す」こと。
歯は削る量が増えるほど再治療の難易度が上がり、持ちも悪くなる傾向があります。
今回の左上5番のように、神経に近い深さまで進んだむし歯でも、薄く残ったエナメル質を含めて歯質をできるだけ残して修復しておくことが、この「回数券」を大切に使うことにつながると考えています。
【当院での治療の流れ】
当院は保険医療機関ですので、非常に小さなむし歯の場合は、保険適用のコンポジットレジン修復で対応します。
しかし、より精度や持ちにこだわりたい場合は、自費診療のダイレクトボンディングをご選択いただくことも可能です。
自費診療は保険診療に比べて予約時間を長く確保するため、1回の来院で治療できる本数が限られます。
そのため、ご希望の場合は初診や予約時に「ダイレクトボンディング希望」とお伝えいただけるとスムーズです。
■ 治療後のケアと万が一の際の対応
美しさを長持ちさせるために 治療後の艶やかで美しい状態は、定期検診での専門的な研磨(クリーニング)によって長期間維持できます。これにより、汚れが付きにくい状態を保ち、虫歯や歯周病の予防にも繋がります。
歯と歯の間のケアについて
隣接面(歯と歯の間)を修復した場合、その部分は歯ブラシだけでは汚れを落としきれません。デンタルフロスや歯間ブラシを併用していただくことが、再発を防ぐうえで大切になります。使い方や道具の選び方は、治療後にお伝えしています。
保証について
本治療には、特定の保証期間は設けておりません。
しかし、治療部位に何らかの問題が生じた際には、当院の責任において誠心誠意対応いたしますので、ご相談ください。
知覚過敏が出た場合の対応 ごく稀に、治療後に歯がしみることがあります。症状が続く場合は、歯の表面をレジンで一層コーティング(保護)する処置なども行いますので、我慢せずご相談ください。
■ このような方におすすめの治療法です。
- 歯と歯の間にむし歯があると指摘された方
- 銀歯などの金属の詰め物を白く、自然な見た目にしたい方
- できるだけご自身の歯を削らずに温存したい方
- 通院回数を少なく、1日で治療を終わらせたい方
- 金属アレルギーが心配な方
ご自身の歯の状態がダイレクトボンディングの対象となるか、また治療について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。実際に適応可能かどうかは噛み合わせなどを含めて総合的に判断させていただきますので、初診時に判断させていただきます。
※自費診療をご希望の場合は、十分な治療時間を確保するため、ご予約の際に「自費のダイレクトボンディング希望」とお伝えいただけますとスムーズですが、 初診時に治療は行いませんので、その点はご注意ください。
■ よくあるご質問
Q. 見た目では分からないむし歯もあるのですか?
歯と歯の間(隣接面)のむし歯は、表面からはほとんど分からないまま内部で大きくなっていることがあります。本症例の左上5番の近心も、術前の見た目ではむし歯があることがほとんど分からず、X線写真で大きなむし歯であることが分かっていました。
Q. 神経に近い深いむし歯でも、神経を残せますか?
むし歯の深さや歯の状態によって異なります。本症例の左上5番は神経にかなり近い深さでしたが、露髄(神経が露出すること)を避けて修復することができました。ただし深いむし歯では、治療後の経過によって後日あらためて神経の治療が必要になる場合があります。
Q. 2本まとめて1回で治療できますか?
むし歯の大きさや部位によって、1回の来院で治療できる本数は異なります。本症例では自費診療の75分枠を確保し、隣り合う左上5番・6番の2歯を1回で修復しました。
Q. ラバーダム防湿は何のために行うのですか?
治療する歯の周囲にシートをかけて口の中から隔離し、唾液や湿気が接着面に触れない状態をつくるためです。コンポジットレジンは歯に接着させて留める材料のため、この環境づくりが仕上がりに関わります。
Q. ダイレクトボンディングとは何ですか?
歯科用の白いプラスチック(コンポジットレジン)を直接お口の中で歯に盛り付け、天然の歯に近い形や色を再現しながら修復する治療法です。型取りが不要で1回で治療が完了します。
本症例は特定の患者さんの治療経過であり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
治療効果・経過・費用は症例により異なります。詳しくは初診時にご説明いたします。
★【ご予約・ご来院の前にご確認ください】
当院では、すべての患者様に公平で質の高い医療を提供するため、ご予約やキャンセルに関して一定の方針を設けております。ご来院の前に、以下のご案内をご一読いただけますようお願い申し上げます。
【ご予約は24時間可能な便利なWeb予約をぜひご利用ください。】
【お問い合わせ】
坂寄歯科医院
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