左下6番・詰め物の下で広がっていたむし歯を1回でダイレクトボンディング修復

院長 三木雄斗
三木 雄斗(Yuto Miki, D.D.S.)
坂寄歯科医院 院長・歯科医師|ダイレクトボンディングをはじめとした保存科全般が得意な一般歯科医師
▶ プロフィールを見る
左下6番(下顎左第一大臼歯)の近心(前寄りの面)にあった、以前入っていたコンポジットレジンの下で広がっていたむし歯を、ラバーダム防湿下でダイレクトボンディングにより1回で修復した症例です。外から見える入り口は小さくても内部で広がっており、支えを失ったエナメル質(遊離エナメル)を相応に取り除く判断になりました。独特な色調の着色があったため、色の再現にも配慮しています。

治療概要

主訴 むし歯があり、ダイレクトボンディングでの修復を希望
診断 左下6番(下顎左第一大臼歯)近心のう蝕(コンポジットレジン修復物の下の二次う蝕)
治療内容 ダイレクトボンディング(ラバーダム防湿下・1歯/既存のコンポジットレジンを除去し、周囲の色調に合わせて積層充填)
治療期間・回数 1回・約50分(自費診療の75分枠を確保して実施)
費用(税込) ¥50,000(1歯)
リスク・副作用 経年的な変色・摩耗/強い衝撃での欠け(修理可能な場合あり)/術後の一過性の痛み・知覚過敏/詰め物の下でう蝕が広がっていた場合、支えを失ったエナメル質を取り除くことで歯質の失われる範囲が想定より広がることがあります/着色のある歯では色調を完全に一致させられない場合があります/清掃状態や噛み合わせによっては同じ部位に再びう蝕が生じる可能性があるため定期的な確認が必要/自費診療のため健康保険は適用されません/効果・経過には個人差があります

 

東京都からお越しの30代男性の患者さん(歯科医師)です。

むし歯があり、ダイレクトボンディングでの修復を希望されてご相談いただきました。診査の結果、左下6番(下顎左第一大臼歯)の近心に、以前入っていたコンポジットレジンの下から広がったむし歯(二次う蝕)が見つかりました。自費診療の75分枠を確保し、1回の来院で治療を完了しています(実際の処置時間は約50分でした)。

 

■ ダイレクトボンディングとは?

まず、今回行った治療についてご説明します。

ダイレクトボンディングとは、歯科用の白いプラスチック(コンポジットレジン)を直接お口の中で歯に盛り付け、天然の歯に近い形や色を再現しながら修復する治療法です。

銀歯などの詰め物と異なり、歯の色に合わせて治療できるため、治療跡が目立たず自然な見た目に仕上がります。

似たものに保険のコンポジットレジン修復があります。どちらもプラスチックを使用した治療方法のため、強度や物性に大きな違いはありませんが、予後には大きな違いがあります。

その違いについては以下のリンクをご覧ください。

▶ 保険のコンポジットレジン修復と自費のダイレクトボンディングの当院における違いはこちら

 

▼ 術前・術後

 

左下6番(下顎左第一大臼歯)近心の詰め物の下に広がっていたむし歯をダイレクトボンディングで修復した症例(術前・う蝕の明示・う蝕除去とラバーダム防湿・術後)の口腔内写真コラージュ|坂寄歯科医院
写真内訳:術前/う蝕を明示したところ/う蝕を除去しラバーダム防湿を行った状態/修復完了後(左下6番)

 

■ 詰め物の下から再発するむし歯(二次う蝕)について

一度治療した歯でも、詰め物と歯の境目にプラーク(歯垢)が残りやすい状態が続くと、その境目からむし歯菌が入り込み、内側でむし歯が広がることがあります。これを二次う蝕(にじうしょく)と呼びます。

二次う蝕は表面からは分かりにくく、痛みが出ない時期が長いこともあるため、ご自身では気づきにくいという特徴があります。今回のむし歯も、以前に入っていたコンポジットレジンの下で進んでいたものでした。

やり直しの治療では、前回の治療で残された歯質をさらに削ることになります。だからこそ、いかに削る量を抑えて再修復できるかが、その歯の将来を大きく左右します。本症例でも、ラバーダム防湿下で拡大視野下での目視によりう蝕の範囲を確認しながら、感染した歯質を取り除くように進めました。

 

■ 入り口は小さくても、内部で広がっていることがあります

本症例で実際に起きたことを、そのままお伝えします。

詰め物を外して中を確認したところ、内部のむし歯は術前の想定よりも広がっていました。むし歯が内側で広がると、その上に残っているエナメル質は、下から支える象牙質を失った状態になります。これを遊離エナメル(支えのないエナメル質)と呼びます。

支えのないエナメル質は、見た目には残っていても、噛む力で欠けたり、詰め物との境目から再び細菌が入り込む入り口になったりすることがあります。そのため本症例では、やむを得ずその部分を取り除く判断をしました。結果として、当初の見込みよりも失われる歯質の範囲は広くなっています。

ここは「削る量を最小限にする」という方針と、率直に相反する場面です。それでも支えのないエナメル質を残さない判断をしたのは、そこを残したまま修復すると、次に問題が起きるまでの時間が短くなると考えたからです。

そして、この「入り口は小さいのに内部で広がっている」という状態は、外から見ているだけでは分かりません。だからこそ、詰め物のある歯ほど、定期的な検診でX線写真も含めて確認しておくことに意味があると考えています。

 

■ 色調(着色)の再現について

歯の色は一様ではありません。同じ1本の歯でも、部位によって明るさや透明感が違い、着色(ステイン)の出方にも個人差があります。

本症例は独特な色調の着色があり、単純に白いレジンで埋めるだけでは周囲から浮いて見えてしまう状態でした。そこでレジンの色調選択と積層のしかたを調整し、周囲の歯と大きな違和感が出ないように再現しています。

ただし、色を完全に一致させられるとお約束するものではありません。経年により、歯側・レジン側の双方で色は変化していきます。

 

■ 今回の治療で行ったこと

歯ぐきより上の歯質が確保できていたため、ラバーダムを確実にかけることができ、唾液や湿気を遮断した状態で接着操作を行える条件が整っていました。コンポジットレジンは歯に「接着」させて留める材料ですので、この隔離環境をつくれるかどうかが仕上がりに関わってきます。

今回は自費診療の75分枠を確保して臨みましたが、実際の処置は約50分で完了しました。当院が自費のダイレクトボンディングで長めの時間枠を取っているのは、想定より深い・広いといった状況になっても、途中で妥協せずに進められる余裕を持たせるためです。本症例のように内部で広がっていた場合でも、時間に追われずに対応できます。

なお本症例では、付き添いのご家族に横で見学していただきながら、その都度どこを何のために処置しているのかを説明しつつ進めました。当院では、患者さんに付き添われたご家族・ご友人が処置を横で見学されることも少なくありません。ご希望があればご相談ください(見学は患者さんのご家族・ご友人に限らせていただいております。また、診療室の状況や処置の内容によっては、お受けできない場合もあります)。

詰め物を外してみると、中のむし歯は事前の見立てより広がっていて、結果として支えを失ったエナメル質を相応に失う形になりました。ここを残すかどうかは毎回迷うところですが、残したまま詰めても長くはもたないと考えて取り除いています。色調も少し独特な着色でしたが、ある程度違和感なく再現できたと思っています。今回は付き添いのご家族に横で見ていただいていたので、その都度どこを何のために処置しているかをお話ししながら進めました。

— 院長 三木雄斗

 

詰め物の境目は、ご自身では見えにくく歯ブラシも届きにくいため、むし歯があっても気づきにくい部位です。とくに一度治療した歯は「治した場所」と思ってしまいがちですが、境目からの再発は起こり得ますので、定期的な検診で確認しておくことをおすすめします。

 

 

※術前・術後写真について

掲載している写真は、治療内容をイメージしていただくための一例(症例)です。お口の状態やむし歯の大きさ、噛み合わせ、生活習慣などにより、仕上がりや経過には個人差があります。

また、写真はできるだけ同じ条件(角度・距離・照明など)で撮影し、治療結果を誤解なくお伝えできるよう配慮しています。

本ページでは、写真とあわせて治療内容/治療期間・回数/費用/主なリスク・副作用も同一ページ内に記載していますので、あわせてご確認ください。

 

 

■ 当院のダイレクトボンディング治療における「こだわり」と「強み」

 

当院がダイレクトボンディング治療において、特に大切にしていることをご紹介します。

 

1. 歯を最大限守ることを最優先します

治療の基本は、ご自身の健康な歯を可能な限り残すことです。当院では精密な治療を可能にする10倍の拡大鏡(ルーペ)を使用し、虫歯に感染した部分のみを正確に、そして最小限に除去します。健康な歯を削りすぎることがないよう、細心の注意を払って治療を進めます。

 

2.「接着」技術への深い知見に基づいた治療

ダイレクトボンディングの予後(治療後の経過)は、いかに歯と詰め物を強力に「接着」させるかにかかっています。実は私(院長)は、歯科医師向けにダイレクトボンディング治療の指導も行う講師でもあります。「接着」に関する深い知識と技術に基づき、接着力を最大化するための全ての工程を丁寧に行うことで、治療した歯の耐久性を高め、詰め物が外れたり、隙間から虫歯が再発したりするリスクを抑えます。

 

■ 治療の詳細情報 【治療内容】

ダイレクトボンディング法による歯の修復治療(左下6番/ラバーダム防湿下で既存のコンポジットレジンを除去し、感染歯質および支えを失ったエナメル質を取り除いたうえで、周囲の色調に合わせて積層充填)

 

【費用】 1歯あたり 50,000円(税込)

※本症例は【1歯】のため、合計【50,000円(税込)】です。

 

【治療期間】 1回(自費診療の75分枠を確保/実際の処置時間は約50分)

 

【治療におけるメリット】

自然な見た目: 周囲の歯の色や形に合わせ、治療跡が目立ちにくく仕上がります。

歯を削る量を最小限に: 虫歯の部分だけを削るため、健康な歯質を最大限温存できます。

1日で治療完了: 型取りが不要なため、通院1回で治療が終わり、お忙しい方にも適しています。

再感染リスクの低減: 仮の蓋をする期間がないため、治療中に歯が細菌に汚染されるリスクを防げます。

金属アレルギーの心配なし: 金属を一切使用しないため、アレルギーの心配は少ないと考えられます。

修理がしやすい: 部分的に欠けたりすり減ったりした場合でも、その部分だけを修理することが可能です。

 

【リスク・副作用】

経年により変色したり、磨耗したりすることがあります。

強度が天然歯より劣るため、硬いものを噛んだ際にまれに欠けたり割れたりすることがあります。

治療後に一時的な痛みや知覚過敏(歯がしみる症状)を生じることがあります。多くは時間と共に落ち着きます。

詰め物の下でう蝕が広がっていた場合、支えを失ったエナメル質を取り除くため、失われる歯質の範囲が術前の想定より広くなることがあります。

着色のある歯では、周囲の色調と完全に一致させられない場合があります。

二次う蝕(詰め物の下からの再発)は、詰め方や日々のケアの状況によって起こり得ますので、定期的な確認が必要です。

自費診療のため、健康保険は適用されません。

 

 

■ 院長の治療方針:「歯の治療は回数券」

歯の治療は「回数券」のようなもの

歯科治療は、一度治療をした部位が永久に持つわけではありません。

時間の経過や日常生活の中で必ず劣化が進み、再治療が必要になる時がきます。

私はよく患者さんに「歯の治療は回数券のようなもの」とお話ししています。

仮に歯の寿命を「20枚綴りの回数券」に例えます。

この「消費枚数」が少ないほど、残りの歯質を長く使える可能性が高まります。

【ダイレクトボンディングの価値】

たとえば、ダイレクトボンディングで1回の治療が5年持った場合、クラウンと同じ消費枚数(5枚)に達するまでに25年かかる計算になります。

もちろん、これはあくまで例えであり、実際の持ち具合はお口の状態や生活習慣によって大きく変わります。

大切なのは「治療が必要になった際に削る量をできるだけ少なくし、歯質を残す」こと。

歯は削る量が増えるほど再治療の難易度が上がり、持ちも悪くなる傾向があります。

本症例のように、詰め物の下で気づかないうちに広がっていた場合、消費する枚数は「見つかった時点の大きさ」で決まってしまいます。発見が早いほど消費枚数を抑えられるという意味でも、定期的な確認には意味があると考えています。

 

【当院での治療の流れ】

当院は保険医療機関ですので、非常に小さなむし歯の場合は、保険適用のコンポジットレジン修復で対応します。

しかし、より精度や持ちにこだわりたい場合は、自費診療のダイレクトボンディングをご選択いただくことも可能です。

自費診療は保険診療に比べて予約時間を長く確保するため、1回の来院で治療できる本数が限られます。

そのため、ご希望の場合は初診や予約時に「ダイレクトボンディング希望」とお伝えいただけるとスムーズです。

 

■ 治療後のケアと万が一の際の対応

 

美しさを長持ちさせるために 治療後の艶やかで美しい状態は、定期検診での専門的な研磨(クリーニング)によって長期間維持できます。これにより、汚れが付きにくい状態を保ち、虫歯や歯周病の予防にも繋がります。

 

歯と歯の間のケアについて

隣接面(歯と歯の間)を修復した場合、その部分は歯ブラシだけでは汚れを落としきれません。デンタルフロスや歯間ブラシを併用していただくことが、再発を防ぐうえで大切になります。使い方や道具の選び方は、治療後にお伝えしています。

 

保証について

本治療には、特定の保証期間は設けておりません。

しかし、治療部位に何らかの問題が生じた際には、当院の責任において誠心誠意対応いたしますので、ご相談ください。

知覚過敏が出た場合の対応 ごく稀に、治療後に歯がしみることがあります。症状が続く場合は、歯の表面をレジンで一層コーティング(保護)する処置なども行いますので、我慢せずご相談ください。

 

■ このような方におすすめの治療法です。

 

 

ご自身の歯の状態がダイレクトボンディングの対象となるか、また治療について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。実際に適応可能かどうかは噛み合わせなどを含めて総合的に判断させていただきますので、初診時に判断させていただきます。

 

 

※自費診療をご希望の場合は、十分な治療時間を確保するため、ご予約の際に「自費のダイレクトボンディング希望」とお伝えいただけますとスムーズですが、 初診時に治療は行いませんので、その点はご注意ください。

 

 

■ よくあるご質問

 

Q. 詰め物の下のむし歯(二次う蝕)は、自分で気づけますか?

詰め物と歯の境目から内側に広がるため、表面からは分かりにくく、痛みが出ない時期が長いこともあります。ご自身で気づくのは難しいことが多く、定期検診での視診・X線検査が発見のきっかけになることがあります。

 

Q. 詰め物を外したら、思ったより大きく削ることになるのはなぜですか?

詰め物の下でむし歯が広がっていると、その上のエナメル質が内側から支えを失った状態(遊離エナメル)になっていることがあります。支えのないエナメル質は、そのまま残しても欠けたり、境目から再び細菌が入り込む原因になり得るため、取り除く判断をすることがあります。本症例でも、詰め物を外したところ内部が想定より広がっており、結果として支えを失ったエナメル質を相応に取り除く形になりました。

 

Q. 着色(ステイン)のある歯でも、色を合わせられますか?

歯の色は一様ではなく、部位によって明るさ・透明感・着色の出方が異なります。本症例では独特な色調の着色がありましたが、レジンの色調選択と積層のしかたを調整し、周囲と大きな違和感が出ないように再現しました。ただし完全な一致をお約束するものではなく、経年により変化することもあります。

 

Q. 治療中、家族や友人が付き添って見学することはできますか?

見学は、患者さんに付き添われたご家族・ご友人に限らせていただいております。その範囲であれば、診療室の状況や処置の内容にもよりますが、ご希望があればご相談ください。本症例でも、付き添いのご家族に横で見ていただきながら、その都度説明を挟んで進めました。

 

Q. ラバーダム防湿は何のために行うのですか?

治療する歯の周囲にシートをかけて口の中から隔離し、唾液や湿気が接着面に触れない状態をつくるためです。コンポジットレジンは歯に接着させて留める材料のため、この環境づくりが仕上がりに関わります。

 

Q. ダイレクトボンディングとは何ですか?

歯科用の白いプラスチック(コンポジットレジン)を直接お口の中で歯に盛り付け、天然の歯に近い形や色を再現しながら修復する治療法です。型取りが不要で1回で治療が完了します。

 

 

⚠ ご注意
本症例は特定の患者さんの治療経過であり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
治療効果・経過・費用は症例により異なります。詳しくは初診時にご説明いたします。

★【ご予約・ご来院の前にご確認ください】

当院では、すべての患者様に公平で質の高い医療を提供するため、ご予約やキャンセルに関して一定の方針を設けております。ご来院の前に、以下のご案内をご一読いただけますようお願い申し上げます。

▶ 初診の予約に関するご案内はこちら

▶ キャンセルポリシーについてはこちら

 

 

【ご予約は24時間可能な便利なWeb予約をぜひご利用ください。】

▶︎ Web予約はこちらから

 

【お問い合わせ】

坂寄歯科医院

〒3001512 茨城県取手市藤代503

TEL:0297-82-4160

▶ お問い合わせはこちら

← ブログ一覧に戻る

この記事はダイレクトボンディングをはじめとした保存科全般が得意な一般歯科医師ページの関連コンテンツです

← ダイレクトボンディングについて詳しく見る