ラバーダム防湿下でレジン築造とダイレクトボンディング|左上3・4・5番 自費修復症例

院長 三木雄斗
三木 雄斗(Yuto Miki, D.D.S.)
坂寄歯科医院 院長・歯科医師|ダイレクトボンディングをはじめとした保存科全般が得意な一般歯科医師
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左上5番近心のダイレクトボンディングと同日に、隣接する左上3・4番のレジン築造(後日セラミッククラウン予定)もラバーダム防湿下でまとめて実施した症例です。
なお、当院ではコア(土台)の処置単独ではラバーダム防湿は通常使用していません。本症例では同日に5番のDBを予定していたため、その隔離環境を活かして3・4番のレジン築造もまとめて行った、という運用です。

治療概要

患者さま 50代男性・取手市内
診断 左上3・4番(上顎左犬歯・第一小臼歯)失活歯のコア欠損/左上5番(上顎左第二小臼歯)近心う蝕
治療内容 左上3・4番:ラバーダム防湿下でのレジン築造(次回セラミッククラウン装着予定)
左上5番:ラバーダム防湿下でのダイレクトボンディング(近心う蝕に対する1級〜2級窩洞修復)
治療期間・回数 本症例の3歯処置:1回・約60分(左上3・4番のセラミッククラウン装着は別日)
費用(税込) 左上5番ダイレクトボンディング 1歯 50,000円
※左上3・4番のレジン築造費用は、別日に行うセラミッククラウンの治療費に含めております。
リスク・副作用 ・経年により変色・摩耗が起こることがあります
・強い衝撃で欠ける場合があります(修復可能なことも多くあります)
・術後に一過性の知覚過敏が生じることがあります
・修復物の色調・形態には個人差があります
・失活歯の修復は将来的に歯の破折リスクが残ります(被せ物による保護で軽減を図ります)
・効果・経過には個人差があります

 

取手市内にお住まいの50代男性の患者さんです。

左上3番(上顎左犬歯)と左上4番(上顎左第一小臼歯)は、過去の治療で神経を取った後の土台(コア)部分が欠損・劣化しており、補綴のやり直しが必要な状態でした。さらに、隣の左上5番(上顎左第二小臼歯)の近心面にもう蝕が確認されました。

ご相談の上、左上3・4番についてはセラミッククラウンによる被せ物治療を行うこととし、その前段階として土台のレジン築造を実施。同時に、左上5番については近心面のう蝕に対してダイレクトボンディングで修復する計画としました。

3歯すべてをラバーダム防湿下で、自費診療の60分枠の中で同日にまとめて処置しています。

 

▼ 術中・術後

 

左上5番近心ダイレクトボンディングの処置5工程コラージュ写真。左から順に、ラバーダム防湿装着後/う蝕の明示/う蝕除去後の窩洞/コンポジットレジン充填直後/研磨終了後の最終仕上げ。同日に左上3・4番のレジン築造も同じラバーダム防湿下で実施|坂寄歯科医院(取手市藤代)
写真左から:① ラバーダム防湿(隔離環境の構築) / ② う蝕の明示 / ③ う蝕除去後の窩洞 / ④ コンポジットレジン充填直後 / ⑤ 研磨終了後の最終仕上げ
▼ 写真5工程の解説(左→右)
  1. ① ラバーダム防湿装着後:処置部位の歯だけをゴムシートから露出させ、唾液や呼気の湿気を遮断する隔離環境を構築した状態。
  2. ② う蝕の明示:う蝕検知液などで感染歯質を可視化し、除去すべき範囲を客観的に把握しているところ。
  3. ③ う蝕除去後の窩洞:拡大鏡下で感染部分のみを最小限に除去し、健全な歯質を可能な限り残した状態。
  4. ④ コンポジットレジン充填直後:歯面処理(接着前処理)を経たうえで、コンポジットレジンを段階的に充填し、形態を整えた直後の状態。
  5. ⑤ 研磨終了後の最終仕上げ:形態修正と段階的な研磨を行い、周囲の歯質となじむ自然な質感まで仕上げた最終状態。

同じラバーダム防湿下で、左上3・4番のレジン築造(次回セラミッククラウン装着予定)も同日にまとめて実施しています。

 

今回は上顎左側の3・4・5番をひとつの枠でまとめて対応した症例です。3・4番は次回のセラミック修復に向けた土台(レジン築造)として、5番は近心面のう蝕に対するダイレクトボンディングとして処置しました。

正直なところ、当院ではコア(土台)築造単独の場面ではラバーダム防湿は通常使っていません。今回は同日に5番のダイレクトボンディングをラバーダム防湿下で行う段取りだったので、せっかく隣接する3・4番も同じ隔離環境の中でレジン築造までまとめてしまおう、という流れで行った症例です。

結果として、3・4番のレジン築造についても接着工程の湿度管理が確実に行えたので、後から装着するセラミッククラウンの予後にも良い影響が期待できる状態に持ち込めました。同日にまとめて処置したことで、来院回数を抑えながら同条件で全工程を踏めた点は、自費診療枠ならではのメリットだと感じています。

5番のステインは近心から頬側にかけて少し長めに入ったかなと感じましたが、口腔内では自然な範囲に収まり、違和感のない仕上がりとなりました。各接着工程を一つずつ確実に踏めたので、長期的にも良好な経過が期待できる状態です。

 

■ レジン築造(コア)とは?

神経の処置(根管治療)を行った歯や、大きく歯質が失われた歯は、そのままでは被せ物(クラウン)を支えるだけの強度が不足しています。そこで、被せ物の土台となる「コア」を作る処置が必要になります。

当院では多くのケースで、金属の土台ではなくコンポジットレジンによる築造(レジン築造/レジンコア)を選択しています。レジン築造には、次のような特徴があります。

レジン築造の長期的な予後を支えるのは「接着」の質です。接着は湿度の管理がきわめて重要で、唾液や呼気の湿気が混入すると本来の接着強度が出にくくなります。

 

■ 同日のダイレクトボンディングと「同じ防湿環境」を活かしたレジン築造

ラバーダム防湿とは、ゴム製のシートで治療する歯だけを露出させ、唾液や呼気から隔離する手技です。一般的にはダイレクトボンディングや根管治療で用いられることが多い手技で、当院でもコア(土台)築造単独の場面ではラバーダム防湿は通常使用していません

本症例では、左上5番の近心う蝕に対するダイレクトボンディングをラバーダム防湿下で行う段取りでした。隣接する左上3・4番のレジン築造も同じタイミングで処置する計画だったため、すでに構築されているラバーダム防湿の隔離環境をそのまま活かして、3・4番のレジン築造までまとめて行う、という流れで実施しています。

結果として、3・4番のレジン築造においても、接着工程で唾液や呼気の湿気を遮断した状態を維持できました。後から装着するセラミッククラウンの予後は、その下にあるコアと歯質の接着がどれだけ確実かに大きく依存するため、この「同日DB併用による副次的な防湿管理」は長期予後の面でメリットが大きいと考えています。

自費診療として十分な時間枠を確保することで、こうした隣接歯の同日まとめ処置が可能になり、同じ防湿環境のもとで複数歯の接着工程を一度に進められる、という運用上の利点があります。

 

■ 同日に行ったダイレクトボンディング(左上5番近心)

同じラバーダムでの隔離環境を活かし、左上5番近心のう蝕についても同日にダイレクトボンディングで修復しました。

ダイレクトボンディングとは、歯科用の白いコンポジットレジンを直接お口の中で歯に盛り付け、天然の歯に近い形や色を再現しながら修復する治療法です。型取りが不要で、1回の処置で修復が完了します。

本症例では、近心から頬側にかけて軽くステイン(着色)を入れて自然な色調を再現しました。仕上がり時にはやや長めに入ったかと感じる場面もありましたが、口腔内では周囲の歯質と調和し、違和感のない範囲に収まっています。

類似の保険のコンポジットレジン修復との違いについては、以下をご覧ください。

▶ 保険のコンポジットレジン修復と自費のダイレクトボンディングの当院における違いはこちら

 

※術中・術後写真について

掲載している写真は、治療内容をイメージしていただくための一例(症例)です。お口の状態や歯の本数、噛み合わせ、生活習慣などにより、仕上がりや経過には個人差があります。

また、写真はできるだけ同じ条件(角度・距離・照明など)で撮影し、治療結果を誤解なくお伝えできるよう配慮しています。

本ページでは、写真とあわせて治療内容/治療期間・回数/費用/主なリスク・副作用も同一ページ内に記載していますので、あわせてご確認ください。

 

■ 当院の保存治療における「こだわり」と「強み」

 

1. 歯を最大限守ることを最優先します

治療の基本は、ご自身の健康な歯を可能な限り残すことです。当院では精密な治療を可能にする10倍の拡大鏡(ルーペ)を使用し、感染した部分のみを正確に、そして最小限に除去します。健康な歯を削りすぎることがないよう、細心の注意を払って治療を進めます。

 

2.「接着」技術への深い知見に基づいた治療

レジン築造もダイレクトボンディングも、長期的な予後は「接着」の質に大きく左右されます。私(院長)は歯科医師向けにダイレクトボンディング治療の指導も行っており、「接着」に関する知識と技術に基づき、接着力を最大化するための工程を一つずつ丁寧に行っています。

 

3. 自費診療枠を活かした「同日まとめ処置」

自費診療は1回の予約時間を長く確保できるため、本症例のように隣接する複数歯をまとめて処置することが可能です。来院回数を抑えながら、同じ防湿環境下で複数歯の接着操作を行えるメリットがあります。

 

■ 治療の詳細情報

【治療内容】

【費用(税込)】

左上5番ダイレクトボンディング 1歯 50,000円

※左上3・4番のレジン築造費用は、別日に行うセラミッククラウンの治療費に含めて算定しております。本記事ではセラミッククラウン自体の費用は記載しておりませんので、料金の詳細は料金表をご覧いただくか、ご相談時にご確認ください。

【治療期間・回数】

本記事で取り上げた3歯の処置:1回・約60分

※左上3・4番については、別日にセラミッククラウンの装着処置を行う予定です。

【メリット】

【リスク・副作用】

 

■ 院長の治療方針:「歯の治療は回数券」

歯の治療は「回数券」のようなもの

歯科治療は、一度治療をした部位が永久に持つわけではありません。時間の経過や日常生活の中で必ず劣化が進み、再治療が必要になる時がきます。

私はよく患者さんに「歯の治療は回数券のようなもの」とお話ししています。

仮に歯の寿命を「20枚綴りの回数券」に例えます。

クラウンは消費枚数が多くなりますが、神経を取った歯の保護には欠かせない選択肢です。だからこそ、その下にある土台と接着の質を高めておくことで、クラウン1回あたりの「持ち」を延ばし、結果として残りの回数券を温存することにつながります。

 

■ 治療後のケアと万が一の際の対応

美しさと機能を長持ちさせるために、定期検診での専門的な研磨(クリーニング)と噛み合わせのチェックを継続することが大切です。レジン築造の上に装着するセラミッククラウンも、咬合や周囲組織の状態に応じた定期的な評価が予後に影響します。

本治療には、特定の保証期間は設けておりません。治療部位に何らかの問題が生じた際には、当院の責任において誠心誠意対応いたしますので、ご相談ください。

ごく稀に、治療後に歯がしみることがあります。症状が続く場合は、歯の表面をレジンで一層コーティング(保護)する処置なども行いますので、我慢せずご相談ください。

 

■ このような方におすすめの治療法です

 

ご自身の歯の状態が今回の治療法の対象となるか、また治療について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。実際に適応可能かどうかは噛み合わせなどを含めて総合的に判断させていただきますので、初診時に判断させていただきます。

 

※自費診療をご希望の場合は、十分な治療時間を確保するため、ご予約の際に「自費のダイレクトボンディング希望」または「自費のレジン築造希望」とお伝えいただけますとスムーズですが、初診時に治療は行いませんので、その点はご注意ください。

 

■ よくあるご質問

 

Q. レジン築造(コア)とは何ですか?

神経の処置を行った歯や大きく歯質が失われた歯に対し、被せ物(クラウン)を支えるための土台をコンポジットレジンで作る処置です。金属の土台と比べて歯質との接着が得られやすく、残った歯への負担を分散しやすい点が特長です。

 

Q. コア(土台)の処置でもラバーダム防湿は必要ですか?

当院ではコア築造単独の場面ではラバーダム防湿は通常使用していません。本症例では同日に隣接歯(左上5番)のダイレクトボンディングを予定していたため、ラバーダム防湿下でDBを行う流れに合わせて、左上3・4番のレジン築造も同じ隔離環境内でまとめて実施しました。結果として接着工程の湿度管理が確実になり、後から装着するセラミッククラウンの予後にも良い影響が期待できます。

 

Q. レジン築造とダイレクトボンディングを同日に行うことはできますか?

治療範囲や患者さんの体力次第ですが、自費診療では十分な時間枠を確保できるため、隣り合う複数歯の処置を同日にまとめて行うことが可能な場合があります。本症例では1回(約60分)の枠で3歯の処置を行いました。

 

Q. ダイレクトボンディングはどのくらい持ちますか?

適切な接着処理と定期的なメンテナンスを行えば、長期間の維持が期待できます。ただし、お口の状態や生活習慣によって個人差があります。当院では治療後も定期検診でのフォローを行っています。

 

Q. 画像に写っている処置の流れは何ですか?

掲載画像は左上5番近心ダイレクトボンディングの5工程を左から順に並べたコラージュ写真です。① ラバーダム防湿(隔離環境の構築)/② う蝕の明示(う蝕検知液による感染歯質の可視化)/③ う蝕除去後の窩洞/④ コンポジットレジン充填直後/⑤ 研磨終了後の最終仕上げ、という流れになっています。同日に左上3・4番のレジン築造も同じ隔離環境内で実施しました。

 

 

⚠ ご注意
本症例は特定の患者さんの治療経過であり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
治療効果・経過・費用は症例により異なります。詳しくは初診時にご説明いたします。

★【ご予約・ご来院の前にご確認ください】

当院では、すべての患者様に公平で質の高い医療を提供するため、ご予約やキャンセルに関して一定の方針を設けております。ご来院の前に、以下のご案内をご一読いただけますようお願い申し上げます。

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坂寄歯科医院

〒300-1512 茨城県取手市藤代503

TEL:0297-82-4160

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