こんにちは。
今回は前回に引き続き、歯周病について書いていきたいと思います。
思った以上のボリュームで、一気には書けませんでしたからね・・・(;'∀')
前回までのあらすじ
~プラークが付着し続けると、炎症が長引き歯肉の接着が外れて、歯周病になります。~
・・・書くと一行で纏まっちゃうっていうね・・・(ノД`)
では、前回の記事からの連番で書いていきます。
⑤毒性の強い細菌の繁殖
出来た歯周ポケットの奥の方には、酸素が届かない為、菌叢が変ります。
簡単に言うと、非常に強い細菌が繁殖し始めるという感じですね。
そして、歯周ポケットの最深部を見てみてください。
歯槽骨に非常に近くなってきたのが分かりますか?
一応比較の画像を載せます。
骨の高さは左右差はありません。(図中の青ライン)
それに対して、歯周ポケットの最深部は度重なる繊維の断裂によってとうとう骨のすぐ傍まで来ました。(図中の黒ライン)
こうなってきて、もし仮に接触してしまうと骨が細菌感染を起こしてしまう事になります。
骨というのはどの場所でもそうですが、体の深部に位置しており、そこが感染を起こしてしまうとその骨に沿って感染がどんどん広がっていきます。
ですので、骨に細菌感染が起こると非常に危険な状態になる可能性も出てきます。
⑥歯槽骨の破壊
そうなると「もうこれ以上は守れない」と判断した免疫が、「破骨細胞」と呼ばれる細胞を呼び、歯槽骨の細菌に一番近い箇所をどんどんと壊していきます。
すると・・・
こんな感じで、骨の高さが変り、結果的に細菌との距離を取ることが出来ました。
つまり、歯周病とは、
「細菌から骨を守るための防御反応の結果、歯槽骨が破壊されてしまうもの」
なんです。
実際は歯に付着している歯肉と、骨までの距離は1mmと決まっているので、ここまで骨に近づくことはありませんけどね(;^_^A
「骨の破壊」と聞くと、骨折などをイメージしてしまい、痛いように思えるかもしれませんが・・・
実際は痛みはありません。
と、いうのもあくまで防御反応の1つですので、自分の体が引き起こしていることだからです。
(あと、破壊されるのが0.01mm以下ずつという非常に微細な量だからというのもあると思います。)
また、骨折と違うのは、この骨の破壊は「体にとって病的な反応ではなく正常な反応」という所です。
どういうことかというと・・・
骨折は骨に異常な力が加わったことで起こる病的な状態です。そのため、骨折が起こったところは正常な状態に戻そうと骨をくっ付けてきます。
それに対して歯周病は体の防御反応という正常な動きで生じたものですので、体の方で一度溶けた骨を元に戻そうとはしません。
すなわち、歯周病とは進行するか、停止するかの2択しかないんです。
しっかりとコントロールされているのであれば、10年とか長期的に停止させることが出来ますが、コントロールが出来ていない場合は1年とか2年で劇的に進んでしまう事もあります。
虫歯も歯周病もイメージで言うと癌と一緒ですね。
自然治癒はしてくれず、痛み無く進行、そして痛みが出た時には既に手遅れ状態。
ちなみに、30歳代で8割に歯周病の所見が診られ、年齢が進むごとに当然その罹患率は上がって行きます。
最近歯周病は医科領域の方でも様々な悪影響を及ぼしてくることが分かってきたため、国としても歯周治療を行う事を歯科医師サイドに強く指導しています。
歯科を受診した時に歯周病の治療を行いましょうとか言われるのはその為ですね。
我流でのブラッシングや歯間ブラシの使用は、実は逆に歯周組織を傷つけてしまう事もありますので、しっかりとかかりつけの歯科医院で指導して頂いたほうが宜しいかと思います。
(逆にそれで指導してくれなかったりするところはちょっと避けたほうが良いかもしれませんね。)
非常に長くなりましたが、とりあえずこれで歯周病についての概要は終了です。
長文になりましたが、読んでいただき、ありがとうございました。