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  • 執筆者の写真三木雄斗

神経の治療④


こんにちは。

桜の綺麗な季節になってきましたね。 左程花を愛でる習慣は無いのですが、それでも桜が好きなのは日本人の習性かもしれません。

さて、今回は根管治療についてです。

「近医で根管治療を数か月続けているが、違和感が全く消えないので、一度診てほしい」という主訴で来院されました。

初診時のレントゲンがこちらです。

口腔内を見てまず気になったのが、仮封(仮の蓋)をしていない事でした。

一応患者さん本人にも確認しましたが、どうやら蓋をされたことが無いそう・・・。

この状態の事を「オープン」と呼びますが、根管をオープンにするかどうかは先生の考え方によって変わってきます。 ちなみに私は「すべきではない」という考えのタイプです。

というのも、こちらの記事(クリックでリンクが開きます)で書かせていただきましたが、根管治療の

主目的は 「根管内の感染源の除去」 です。

口の中に溢れかえっている唾液には実は細菌が非常に多く含まれています。 (実は細菌のみではなく、ウィルスや真菌も含まれています。)

一回一回の治療で一生懸命唾液が根管内に入らないように注意して処置を行い、清潔にしたにも関わらず・・・ 仮封をしっかりとせずに帰ると、次の診療までに唾液が入ってどんどん新しい細菌感染が起こってきます

なので、私にとって「オープン」という選択肢はむやみやたらと感染を拡大させる手法であり、治療とは対極にあると思っています。

(何度も書きますが、先生の考えかたに寄ります。)

で、この歯も数か月前から仮封をされていないとなると除去するのが非常に困難な真菌やウィルスも入り込んでいる可能性が高く、治癒が難しいかもしれない事を説明し、治療に入りました。

【1日目】 初回は急患だったため、時間が取れなかったので、次に来院してもらった際に仮封の精度を上げるために隔壁を作成し、しっかりと仮封して終了。

隔壁についてはこちらの記事(リンクが開きます)をご覧になってください

【2日目】 最初にレントゲンを見た時に「なんか根管の上の方しか触られた形跡がないなぁ・・・」と思いましたが・・・ 嫌な予想は的中するもので、どうやら本来の根管とは別の方向に穴を開けようと進めていたようで、もう少しで明後日の方向に穴が開くところでした・・・。 とりあえず、その日のうちに本来の根管を見つけ、形態を整えることに。

【3日目】 来院早々患者さんから「違和感が無くなった!」との意見が来ました。 まだ根管内の洗浄は行っていませんでしたが、どうやら触られていなかった本来の根管が違和感の元だったようですね。 この日はしっかりと根管内を洗浄。

【4日目】 完全に違和感が消え、歯を上から叩いても手前の歯と差が無い状態にまでなったので、根充(最終的なお薬を詰めることです。)を行いました。

術後のレントゲンがこちらです。

お薬が2本見えていますが、そのうち短い方が明後日な方向にミスリードされていた根管です。

術前術後の写真がこちらです。

比較してみると、根の先の膿が溜まっている部分に少し骨が出来てきており、治癒傾向にあることが分かります。

今回は「数か月オープン状態」「根管のミスリード」と二重苦の状態で非常に難易度が高かったですが、運よく良い感じに治せましたね!

ただ、それでも再発してしまう可能性はもちろんあります。 あとは無事になるべく長く使えることを祈るのみですね。

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