Tooth Contacting Habit
無意識の歯の接触が引き起こすトラブルと、当院での改善指導について
What is TCH?
TCH(Tooth Contacting Habit=歯列接触癖)とは、上下の歯を無意識のうちに軽く触れ合わせ続ける癖のことです。「かみしめ」や「食いしばり」のように強い力で噛んでいるわけではなく、ごく弱い力で歯同士が触れているだけ――これがTCHの特徴です。
リラックスしているとき、唇は閉じていても上下の歯は約2mm離れています(安静空隙)。1日のうち上下の歯が接触する時間は食事・会話・飲み込みの瞬間を合わせても約20分以下です。
デスクワーク中、スマートフォン操作中、集中しているときなどに無意識で歯を接触させ、1日12時間以上接触が続くことも。力の総量は正常時の約20倍以上になります。
Symptoms
TCHによる持続的な負荷は、口の中だけでなく全身にもさまざまな影響を及ぼします。
Treatment Policy
TCHの治療で最も大切なのは、癖そのものに気づき、改善することです。当院ではマウスピース(ナイトガード)の処方より先に、行動認知療法である「リマインダー法」の指導を行います。
マウスピースは歯や顎関節への物理的なダメージを軽減する効果がありますが、TCHという癖そのものを治す効果はありません。装着をやめれば負担は元に戻ります。
まずリマインダー法で癖の改善を図る → 改善が不十分な場合や症状が強い場合のみ、短期間のマウスピースを検討します。マウスピースを長期的に使い続けるものとは考えていません。
Reminder Method
リマインダー法は、「無意識の癖に気づく回数を増やす」ことで脳の習慣回路を書き換える方法です。特別な道具は不要で、ご自宅でも実践できます。
Doctor's Experience
私自身、重度の顎関節症に悩まされていました。最もひどい時期には半年に一度、口が縦に5mmしか開かない状態になり、ゼリー飲料すら口に入れられず、会話するだけでも苦痛でした。
大学4年のとき、TCH(歯列接触癖)の概念を知り、リマインダー法を自分で実践したところ、症状がほぼ消えました。
今でもTCHの癖自体は残っています。しかし症状が出たらリマインダーの頻度を増やすことで、2〜4週間で症状は消えます。
TCHは「完全に治す」ものではなく、「うまく付き合っていく癖管理」です。これがTCHへの本質的なアプローチだと考えています。
Case
他院で「虫歯はない」「原因不明」と言われ、痛みが続いていた患者さまが来院。検査の結果、歯や歯周組織に異常はなく、TCHが原因と判断しました。リマインダー法を指導し、2〜3週間後には痛みがほぼ消失。現在も定期的なメンテナンスの中でTCHの状態を確認しています。
FAQ
Reservation
原因不明の歯の痛み・顎の違和感・詰め物が繰り返し外れるなど、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。