CAD/CAM Inlay
保険適用の白い詰め物について、接着の専門家が解説します
What is CAD/CAM Inlay
CAD/CAMインレーは、コンピューター(CAD:設計、CAM:製作)を用いて製作する保険適用の白い詰め物です。ハイブリッドレジン(プラスチックとセラミックの混合素材)のブロックを機械で削り出して作ります。
2022年に保険適用範囲が拡大されてから、銀歯に代わる白い詰め物として多くの歯科医院で取り扱われるようになりました。「保険で白い歯にできる」という点は患者さんにとって大きなメリットです。
Advantages
Limitations
CAD/CAMインレーにはメリットがある一方、接着の専門家として以下の限界を認識しておく必要があると考えています。
CAD/CAMインレーは間接法(型取り→技工所で製作→装着)のため、歯とインレーの間にセメント層が介在します。直接歯面に接着するダイレクトボンディングと比較して、接着の信頼性に差があります。
型取り→模型製作→機械削り出しの各工程で微小な誤差が蓄積します。歯との隙間(マージンギャップ)が大きくなると、二次むし歯のリスクが高まります。
ハイブリッドレジンは天然歯やセラミックと比較して強度が低く、咬合力の大きい臼歯部では破折や脱離のリスクがあります。特に歯ぎしりや食いしばりのある方は注意が必要です。
インレー(はめ込み式の詰め物)は咬合力がかかると楔のように作用し、残存歯質を押し広げて歯の破折を引き起こす可能性があります。これは銀歯のインレーと共通のリスクです。
Comparison
| 項目 | CAD/CAMインレー | ダイレクトボンディング |
|---|---|---|
| 方法 | 間接法(型取り→製作→装着) | 直接法(歯に直接充填) |
| 接着 | セメントを介した接着 | 歯面に直接接着(一体化) |
| 適合精度 | 工程の誤差が蓄積しやすい | 歯に直接合わせるため高精度 |
| 歯を削る量 | インレーの厚みの確保に削る量が多い | むし歯の部分のみ(歯質の保存に有利) |
| 再治療 | 外して作り直し(歯への負担大) | 修理・追加充填が可能(歯への負担小) |
| 楔作用 | あり(歯の破折リスク) | なし(歯と一体化するため) |
| 保険適用 | あり | 保険CRとして適用あり(自費DBは別途) |
| 通院回数 | 2回以上 | 1回で完了(即日修復) |
Our Policy
当院では、内側性窩洞(むし歯を取った後の穴)の修復において、CAD/CAMインレーよりもダイレクトボンディングを推奨しています。
CAD/CAMの材料(ハイブリッドセラミックス)は、そもそも接着が難しい素材です。接着が不完全になりやすいため、詰め物と歯の間にわずかな隙間が生じ、噛むたびに「楔(くさび)作用」が繰り返されます。この楔作用が積み重なると、歯のヒビや破折につながり、最終的に歯を大きく傷めてしまうリスクがあります。個人的には、CAD/CAMインレーを積極的におすすめする場面は少ないと考えています。
その理由は「削らない・長持ちさせる」という当院の治療方針と、接着の専門家としての経験に基づいています。直接法であるダイレクトボンディングは、歯を削る量が少なく、歯との一体化による高い接着信頼性が得られます。
院長は歯科医師向けセミナーの講師として、接着技術やダイレクトボンディングの指導を行っています。その専門知識を一般診療にも活かし、精密な充填を行っています。
FAQ
Reservation
CAD/CAMインレーの予後不良でお困りの方、詰め物の選択でお悩みの方はお気軽にご相談ください。当院では丁寧にご説明し、患者さんご自身に治療法を判断いただいています。